調停委員の説明に納得いかない!という場合

(1)調停委員の資格

 調停は、調停委員2人の方の進行で進められます。調停委員は、法曹資格(司法試験に受かった人)でなくてもなることができます。これがくせ者です。
 先日、東京の弁護士さんと話した際、「東京家裁の離婚調停では、調停委員の片方は弁護士が担当しているという印象だなあ」と言っていました。とてもうらやましくなりました。
 横浜家庭裁判所では、私の経験上、法曹資格のある調停委員にあたったことはありません。そして、調停委員の法律的な知識のなさで混乱してしまうこともよくあります。

(2)とある離婚調停での出来事

 先日の離婚調停で、こんなことがありました。
 夫婦で共有している不動産の夫の持分を財産分与として妻に譲渡してもらうという話が出ていました。夫も、ローン残を妻が引き受けることを条件に譲渡に同意し、妻も、ローンを自分が払うことに同意していました。
 にもかかわらず、調停委員が、「ローン残が残っているなら銀行の承諾がない限り裁判所も財産分与を許可しません」と断言していました。

 この説明は、いくつもの法的間違いがあります。
 第一に、財産分与は当事者間の合意で自由にでき、裁判所の許可が必要なものではありません。仮に銀行の抵当権がついていても、抵当権が付いたまま所有者が変わるというだけの話です。
 第二に、確かに、ローン残がある場合、銀行の約款に「譲渡を禁ずる」といった条項がある場合がありますが、銀行の約款は契約者(本件では債務者である夫)を拘束するだけで、第三者を拘束するものではありません。
 第三に、約款違反になるとしても、対処方法はいくらでもあるということです。確かに、ローンを完済していないうちに不動産を譲渡すると、銀行が約款違反を理由に、ローンの残額を一気に請求してくるということがあります。

 しかし、そもそも、毎月きちんとローンを払っている限り(振り込みは夫ではなく妻がやっているとしても)、銀行は登記簿を取り寄せて名義変更の有無をチェックしたりしません。仮に、名義移転に気づいても、譲受人が妻で、ローンもちゃんと払っているということであれば、譲渡について文句を言わないことも多いです。どうしても心配という場合は、調停で財産分与の合意だけしておいて、移転登記の手続はローン完済後にすればいいわけです。

 この調停委員は、私が法的な間違いを説明しても、「許可しません」「許しません」という発言を繰り返していましたので、致し方なく、裁判官あてに苦情の書面を送りました。
 裁判所は調停委員の交代はしてくれませんでしたが(裁判所は調停委員に落ち度があってもまず認めません)、注意はしてくれたらしく、調停委員は「許可しません」という発言はしなくなりました。
 しかし、その後も、「なんか分かってないな」という発言が多々見られ、また、離婚のそのほかの条件で合意に至りそうになかったので、さっさと調停は不成立にしました。

(3)法律相談のススメ

 調停委員は、お歳を召した方も多く、こちらの伝言が相手方にちゃんと伝わっていないということも度々なのですが、「法曹資格がないのによく勉強されておられるなあ」という方もいらっしゃりますし、当事者の気持ちを汲んでうまくまとめてくださった方もいらっしゃいます。ですので、私も、あまり悪口は書きたくないのですが、調停委員の間違った説明のために不利益を被るのは当事者なので、あえてブログに書きました。

 調停に弁護士を付けるとなるとお金がかかりますが、相談だけなら数千円~1万円くらいで済みます。それに、無料の法律相談もいくらでもあります。横浜なら、横浜市役所、神奈川県庁、各区役所でやっています。調停委員の説明に納得できなかったら、その調停委員の説明が法的に正しいのかどうか、無料相談でもいいから弁護士に相談するべきだと思います。


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