親権争いは、父親と母親のどちらが有利か

 離婚調停で、子どもの親権の争いとなった場合、父親と母親のどちらが有利でしょうか。親権者の判断基準については、前回のコラム「離婚で親権をどちらもいらないと主張する場合」で紹介しましたので、ご参照ください。

親権の判断基準から言えること

 (1)「母性の優先」の基準からすれば、母性が優先されるので、子どもの年齢が小さければ小さいほど、母親が有利といえます。
 しかし、母親であっても、何らかの理由で(病気、愛情の欠落、性格の問題等)子どもに対しこれまで母性的な関わりをしてこなかったのであれば、母親より母性的な関わりをしてきた父親が有利になるということもあります。 これ以外の基準からは、父親だから有利、母親だから有利ということはありません。

 (2)「現状維持の優先」からは現在子どもを監護している親が有利ですし、

 (3)「子どもの意思の尊重」や(4)「兄弟姉妹不分離」の基準からはどちらの親が有利ということはありません。

 (5)「その他(子の福祉に適うか)」においても、これは子ども監護体制(どのような監護を子どもに提供できるのか、経済面、監護補助者の有無等)の優劣や面会交流に積極的か等、どちらに親権を認めるのが子どもの福祉に適うかという視点ですので、これも母親だから有利とか、父親だから不利ということはありません。

弁護士としての経験上、母親の方が有利

 もっともやはり経験上は母親の方が有利だと思われる事案が多いです。

 子どもが生まれてからこれまでの監護経過において、母性的な関わりをしてきたのはやはり主に母親ということが大半であって、父親と比べると、子どもとの関わり合い方の質と量に大きな差があることが多いです。子どもが小さければ小さいほど母性優先の原則がものをいい、母親が有利だろうと思います。
 また、母親は、夫婦関係が破綻した際に一人で家を出るということはほとんどせず、子どもを連れて家を出ることが多いです。
 他方、父親は夫婦関係に耐えられなくなったとき、一人で家を出ることが多いでしょう。したがって、現状維持の優先の基準からも母親が有利になることがあります。
 そのためか、虐待をしているとか著しく監護能力が乏しいなどの事情が無い限り、母親を親権者から外すという判断にはなかなか至らないように感じます。

 実際当事務所においてご相談いただいた案件でも、父親に親権が認められたのは、いずれも、母親が子どもを置いて家を出て、現在の監護者が父親であったもの、母親に病気等があって監護能力に問題があったもの、子どもの年齢が大きく、親権者に父親を希望したものなど、母親の監護能力が乏しいと判断されたものでした。


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