円満調停

IMG_48450001  夫婦間の調停には離婚を求める離婚調停だけでなく、「夫婦円満調停」というものがあります。

 夫婦関係が上手くいかなくなってしまった場合に、夫婦関係を円満に改善するための話し合いを行うことができるのが、円満調停です。

 円満調停は、夫婦関係の維持だけでなく、離婚すべきかどうか迷っているという場合にも利用することができます。

円満調停の利用動機

・私にいけないところがあって妻が実家に戻ってしまった、できればやり直したい。
・子どもが小さいので離婚はしたくないが、夫のモラハラに耐えられないので、直してほしい。
・離婚した方が良いのかどうか、悩んでいる 。

 このような場合には、家庭裁判所の円満調停を利用することができます。

円満調停の手続

 円満調停の手続は次のとおりです。

 まず、家庭裁判所に円満調停の申立をします。

 次に、調停の日時を決めますが、申立から1か月くらい先になります。日時が決まると裁判所から相手方に「期日通知書(いついつ調停が開かれるので出席して下さいという通知)」が郵送されます。

 調停当日ですが、その日に話し合いがまとまるか、話し合いの余地が全くなければ、1回で終了します。しかし、通常は2回、3回と調停が開かれ、1か月に1回くらいのペースで設定されます。

 調停では、調停委員が、夫婦双方から事情を良く聞いてくれます。そして、なぜ、夫婦関係が上手くいかなくなってしまったのかその原因を探ります。
 どのようにしたら夫婦関係が改善できるのか、夫婦双方が改善のためにどのような努力をすべきなのか等について、話し合うことになります。調停委員から、解決策の提示、解決のためのアドバイスをもらえることもあります。

 話し合いがまとまれば、その内容を記載した調書を作成することになります。例えば次のような条項になります。

1 当事者双方は、次の事項を遵守し、今後互いに協力して円満な家庭を築くように努力する。
(1)当事者双方は、従来の生活を反省し、互いの立場を十分理解し、可能な限り会話の場を設ける。
(2)相手方は、申立人及び子どもに対し、乱暴な言動を行わない。
2 当事者双方は、令和○○年○○月○○日以降、現在の別居状態を解消して、同居する。

申立てに必要な書類

 円満調停の申立てに必要な書類は、「申立書」と「戸籍謄本」です。
 これらは、裁判所のホームページで配布されており、記載例もありますので、ご自身で作成されるのもよいですが、調停への対応も含めて弁護士にご依頼いただくこともできます。

円満調停で聞かれること

円満調停では、調停委員から両方に次のようなことを聞かれます。

  •  ・そもそもやり直すつもりはあるか?
  •  ・なぜ円満でなくなってしまったのか?
  •  ・お互いに関係を修復したい場合には、相手のどういったところを直してもらいたいのか?

基本的に不満について聞かれ、関係を修復できる方法を探る質問をされます。

円満調停を申し立てられたら

 もし、相手方から円満調停を申し立てられた場合、「相手が本当に反省して変わるならやり直したい」、「離婚すべきかどうか迷っている」ということであれば、調停に出席して、話し合いをしてみましょう。

 しかし、全くやり直すつもりがない、離婚の意思が強固であるという場合には、無視して調停に出席しない方法もあります。
 また、この場合、調停に出席した上で、「やり直さない」、「絶対に離婚したい」という意思を調停委員から相手に伝えてもらうこともできます。これにより相手が諦めれば、円満調停が離婚調停に転じて、そのまま離婚を成立させることが可能です。

 さらには、離婚の意思が固いならば、逆に離婚調停を相手に対して申し立てても良いでしょう。

円満調停を申し立てない方が良い場合

 当事者同士で冷静な話し合いができず、でも何とか話し合いはしたい、という場合は、調停を申し立てざるを得ないと思います。

 ただ。円満調停をきっかけとして、相手方から、逆に離婚調停を申し立てられる可能性があるというデメリットがあります。そのため、「夫婦関係の修復は無理そうだけど、離婚は先延ばしにしたい」という場合は、円満調停を起こすかどうかは慎重に判断した方が良いと思います。

離婚調停へ

 円満調停において、円満に改善しようと話し合いをしたものの、やり直しは困難であり、双方離婚せざるを得ないとの結論に至ることもあるでしょう。
 そのような場合、円満調停を取り下げたり、離婚調停を新たに申し立てたりする必要はなく、円満調停の中で、離婚について引き続き話し合いをして、離婚調停を成立させることも可能です。

 円満調停は、ご自身で行うことも可能ですが、もちろん弁護士にご相談、ご依頼いただくこともできます。
 話すのが苦手で、上手く調停委員に自分の考えを伝えられるか分からない、調停委員の解決策に疑問だが嫌だとは言い出しづらい、など不安や疑問がある方は、お気軽に弁護士にご相談下さい。


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