離婚調停を申し立てられたら
離婚調停とは、離婚するかしないか、離婚するのであればどのような条件の下に離婚するのかを家庭裁判所で話し合いを持つことです。
離婚調停を申し立てたり、申し立てられたら、事件番号が付されます。申立てから1週間程度したら裁判所側で担当する裁判官と調停委員が決定され、離婚の調停期日が決まります。
その後、相手方に事件番号と共に第1回調停期日の日時を知らせる通知書(呼出状)が届きます。
そのときに、離婚調停の相手方として最低限すべきこと、調停の呼出しを無視して欠席したらどうなるのか、弁護士に依頼すべきかをまとめました。
離婚調停の相手方が最低限すべきこと
配偶者(「申立人」といいます)から離婚調停を申し立てられた場合、あなた(「相手方」といいます)の所には家庭裁判所から調停の呼び出し状が、予告もなく送られてくることがあります。あなたにとっては寝耳に水の出来事で、とても驚き、怒り、あるいは悲嘆に暮れているかもしれません。
しかし、そのような感情はひとまず横に置いておくことにして、まずは書類の中身を見て、離婚調停の相手方として最低限やらなければならないことを確認してみましょう。 書類の中には、(1)調停期日通知書(呼び出し状ともいう)、(2)申立人が家庭裁判所に提出した離婚調停(夫婦関係調整調停)申立書の写し、(3)意見や事情に関する照会書(答弁書・回答書)などが入っていることと思います。
したがって、離婚調停の相手方として最低限やらなければならないことは ・指定された期限までに照会書の内容に回答すること ・指定された期日に家庭裁判所に出向き、調停に出席すること の2点であることがわかります。
呼び出しを無視して調停に欠席するとどうなるか
離婚調停は、裁判所(裁判官および調停委員)を介在した当事者同士の話し合いです。もし離婚調停を申し立てられ、呼び出しを無視して無断欠席し続け、話し合いに応じない場合には、調停は不成立となり終了します。
もっとも、これには法律上の不利益と事実上の不利益が伴います。
(1)法律上の不利益
離婚紛争は、原則として訴訟提起の前に調停をしなくてはならないきまりとなっています(調停前置主義)。
したがって、相手方の無断欠席により調停が不成立に終わると、申立人は直ちに離婚訴訟を提起できるようになります。
つまり、本来は離婚について調停→訴訟と2回争う機会があるのに、そのうちの貴重な1回を失うことになるのです。
また、離婚調停とともに婚姻費用の分担請求調停が申し立てられている場合、これが不成立に終わると自動的に審判という手続きに移行し、裁判官が、申立人の言い分だけを聞いて、婚姻費用として支払うべき額を決定することになります。 裁判所から「過料」という金銭制裁が科される場合もあります。(実際にはほとんどありません)
(2)事実上の不利益
裁判所の呼び出しを無視して離婚調停を欠席した場合、裁判官や調停委員から、離婚という人生の節目の大切な話し合いにすら応じようとしない不誠実な人、社会のルールを無視する自己中心的な人と評価されることは避けられません。そして、後に気持ちを改めて調停に出席するようになったとしても、この評価を覆して裁判官や調停委員を自分の味方につけ、調停を有利に進めることはなかなか難しいように思います。
また、離婚調停が不成立となり離婚訴訟に移行した場合には、相手方が呼び出しを無視し続けて調停不成立に終わらせたという事実が証拠として残ります。
したがって、調停を無断欠席することは、あなたにとって不利益しかありません。もし決められた離婚調停期日に出席できない場合には、速やかに裁判所に電話をして事情を説明した上で、第1回離婚調停期日の日程を変更してもらうか、第2回からは出席する旨を伝えるようにしましょう。
弁護士に依頼すべきか
離婚調停を申し立てられたら弁護士に依頼すべきかどうか、弁護士に相談するタイミング、弁護士に相談するメリットをご説明します。
弁護士に相談した方がよい場合
離婚調停は代理人(弁護士)を付けずに当事者のみで行うこともできますが、心配事がある場合や、親権や財産分与等の条件面でシビアな話し合いが予想される場合には、専門家である弁護士に相談しましょう。
特に、申立人が代理人として弁護士を付けている場合には、相手方も代理人を付けることが多くなっています。(注:平成28年の司法統計によれば,婚姻関係の事件において申立人が代理人を付けている場合、相手方の約47.4%が代理人を付けています。)
代理人である弁護士は、離婚調停の依頼を受けた場合、依頼者が最大限の利益を得られるように、最終的な着地点を見据えつつ適切な方針を立てます。
弁護士に相談するタイミング
ところが,本人が弁護士に相談するよりも先に、陳述書や証拠書類を裁判所に提出してしまっている場合、これが支障となって最善の方針を立てられない場合があります。陳述書とは、調停当事者や関係する人の言い分をまとめ、本人が署名・押印した書類のことです。
したがって、弁護士に相談する場合には、できるだけ早い段階で、できれば裁判所に答弁書や陳述書など何も提出していない段階で行うことが望ましいといえます。 離婚調停では、調停委員は、相手方であるあなたの主張や希望を聞き取った上で、申立人にこれらを伝えたり、説得したりするなどの仲介役・調整役を担います。
そのため、あなたの希望する条件での解決を目指すためには、まずは、調停委員に、あなたの主張を正しく理解、共感してもらうことが必要です。
弁護士に相談するメリット
それゆえ、弁護士に自己の主張をまとめてもらい、調停委員に説得的に伝えてもらえることや、申立人の主張を踏まえた上で適切なフォローやアドバイスをもらえることが、弁護士に依頼することの最大のメリットであるといえます。
また、離婚調停が成立するまでには短くても数ヶ月、長ければ年単位での時間を要しますから、この間、主張の整理・検討、資料の作成、調停への出席等による時間的拘束や継続的なストレスにさらされることとなります。弁護士に依頼することにより、これらのストレスから少し距離をおいて、別の事に集中したり、いち早く新たな生活のスタートを切ったりできることも、見過ごせないメリットといえます。
離婚調停を申し立てられたら、まずは気軽に弁護士に相談した上で、依頼すべきかどうかを検討するとよいでしょう。
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