婚姻費用の弁護士相談
婚姻費用とは、日常の生活費や子にかかる費用等、夫婦が夫婦として生活していくために必要な費用のことです。
夫婦である以上は別居中であっても、離婚が成立するまでは婚姻費用を分担する義務がありますので、収入のある(多い)方が、ない(少ない)方に婚姻費用を支払うことになります。
別居はしたいけれど、収入がないので生活が成り立たないという方もいらっしゃると思いますが、収入のある相手に婚姻費用を請求できますので、婚姻費用を収入のある相手に請求できますので、諦めないでください。
相手が婚姻費用を払ってくれない/少なすぎる場合
相手が任意に支払ってくれない、または支払ってくれるが金額が少なすぎるというときは、直ちに家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てましょう。
婚姻費用分担請求調停とは、配偶者や未成熟の子供の生活費の分担について、家庭裁判所の仲介により話し合いをする手続です。
調停が成立するのに数か月かかったとしても、申立てをしたその月から調停が成立する月までの分は一括で、翌月からは月々決まった金額を支払ってもらえることになるので、できる限り早く申し立てた方がいいのです。
調停はあくまで双方の合意が必要ですが、調停で金額の折り合いがつかないときは、審判という手続に移行して、裁判所が婚姻費用の金額を決めてくれます。
相手がその金額に納得せず、任意に支払ってくれなくても、審判で決まった場合は、給料の差押え等をして強制的に婚姻費用を回収することができます。
婚姻費用が払えなくなった場合
- ・会社の業績悪化で給料が減った
- ・会社を解雇された
- ・転職して給料が大幅に下がった
- ・病気で働けなくなった
- ・経営している会社が倒産した
このような事情で、以前、約束した婚姻費用が払えなくなった場合には、まずは相手と減額について相談し、相手が了承してくれない場合は、家庭裁判所に対し、婚姻費用の減額を求める調停を申し立てましょう。
以前の婚姻費用の約束を、公正証書や調停で行っている場合は、決められた金額を支払わない場合、給料の差押えを受けてしまう可能性もありますので、なるべく早く調停を申し立てた方が良いです。
なお、裁判所が婚姻費用の減額の事情として認めるのは、あくまでも「予測できなかった事情により収入が減った場合」です。
以前の合意の時に、将来、収入が減ることがわかっていたのであれば、収入が実際に減った後に改めて減額の調停を申し立てても、婚姻費用の減額が認められない場合がありますので注意してください。
婚姻費用を増額してほしい
上記の場合と異なり、以前の合意の後に、婚姻費用を受け取っている配偶者の収入が減ったり、または婚姻費用を支払っている配偶者の収入が増えたりした場合は、婚姻費用の増額が認められる場合もあります。
また、収入には変化がなくても、子供の進学や病気等で特別の経費を要した場合には、その特別経費の一部について、別居中の配偶者に負担を求めることも可能です。
不動産収入がある場合、婚姻費用はどうなるか?
夫婦の一方が不動産からの賃料を得ている場合、これを婚姻費用算定の際、「収入に加算してよいか?」という問題があります。
この問題については、当該不動産が夫婦共有財産であるか、それとも一方の特有財産であるかなどにより結論が分かれます。
不動産が夫婦共有財産である場合
まず、不動産が夫婦共有財産である場合について説明します。不動産が夫婦共有財産である場合というのは、次の不動産のことを指します。
- ・結婚後に夫婦が稼いだ資金により購入した場合
- ・ローンの大半を結婚後の収入により支払っている場合
当該不動産の名義が夫妻どちらかの単独名義であったとしても、上記のケースに該当する場合、夫婦共有財産になります。
夫婦共有財産からの賃料は、婚姻費用算定の際の収入に加算されます。
不動産が特有財産である場合
他方で、不動産が特有財産※である場合には、判断が分かれます。
※夫婦の一方が単独で有する財産のことで、婚姻前から有する財産や婚姻中自己の名で得た財産がこれに該当します(民法第762条)。
不動産が夫婦どちらかの特有財産である場合というのは、次の不動産のことを指します。
- ・夫婦の一方が結婚前に購入した場合
- ・夫婦の一方の相続や生前贈与などで取得した場合
夫婦一方の特有財産からの賃料については、裁判例によると、次のようになります。
- 夫婦共同生活の資に用いられていた場合には、婚姻費用算定の際に収入に加算されます。
- 夫婦共同生活の資に用いられていなかった場合は、婚姻費用算定の際の収入には加算されません。
婚姻費用の額
婚姻費用の額は、夫婦双方の収入から算出されます。相手の収入の半分をもらえるというわけではありません。
家庭裁判所が作成した「婚姻費用算定表」という基準となる表があります。
個々の事情を考慮して、この表の金額に足し引きすることはありますが、調停では基本的にこの表に従った金額を元に話し合いが進みますし、審判でもほとんどはこの表を元に金額が決められます。
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