円満調停と離婚調停の違い

 円満調停は夫婦関係の改善を図るための話し合いの場で、離婚調停は夫婦関係の解消、離婚に向けた話し合いの場です。いずれも、家庭裁判所に申立をして行います。

 円満調停は、前回のコラム「円満調停とは」でも紹介しましたが、夫婦の不和の原因が何か、どのようにすれば関係が改善できるのかを話し合います。

 離婚調停は、離婚するかしないか、離婚するのであればどのような条件の下に離婚するのかを話し合います。

調停調書の内容

 円満調停も離婚調停も、話し合いがまとまると、その結果を記載した調停調書が作成されます。

離婚調停の調書

 離婚調停が成立した場合の調書は、大要次のような調停条項になります。

  • (1) 申立人と相手方は、本日調停離婚する。
  • (2) ○○の親権者を申立人(相手方)と定める。
  • (3) 申立人(相手方)は相手方(申立人)に対し、養育費として毎月××円を支払う。
  • (4) 申立人(相手方)は相手方(申立人)が○○と月1回程度面会交流することを認める。
  • (5) 申立人(相手方)は相手方(申立人)に対し、財産分与として○○円支払う。
  • (6) 申立人(相手方)は相手方(申立人)に対し、慰謝料として○○円支払う。
  • (7) 申立人と相手方の年金分割についての請求すべき按分割合を××と定める。

円満調停の調書

 他方、円満調停の場合、夫婦間の不和の原因やその解決策は事案毎に異なるので、多種多様なものになります。(調書の例については前回のコラム「円満調停とは」を参照してください。)

調停が成立した場合の手続き

 それぞれの調停が成立した場合の手続きについては、次のようになります。

離婚調停が成立した場合

 離婚調停が成立した場合、法律上は調停が成立した日に離婚したことになりますが、離婚届を提出しないと、戸籍はそのままになってしまうので、離婚届を提出する必要があります。

 なお、通常は調停を申し立てた方が離婚届を提出しますが、その場合、調停調書を添付すれば、離婚届に相手方の署名押印は必要ありません。

 また、調停で年金分割の合意をしても、やはり自動的に年金が分割されることはありません。

 年金事務所で別途請求の手続きをする必要がありますので、調停調書を持って年金事務所へ行きます。

円満調停が成立した場合

 円満調停が成立した場合には特に必要となる手続きはありません。

調停で約束したことが守られなかった場合

離婚調停では

 離婚調停の場合、上に記載した調停調書の条項のうち、金銭の支払いを約束している

  • (3) 養育費
  • (5) 財産分与
  • (6) 慰謝料

については、給料差押え等の強制執行が可能になります。

円満調停では

 円満調停の場合、解決策として約束したことが守られなくても、特に不利益を課されることはなく、これを相手に強制する手続きはありません。

 ただ、裁判所から約束したことを守るように通知をしてもらうことはできます。これを履行勧告といいます。

調停が不成立になった場合

離婚調停が不成立になったら

 離婚調停が不成立になった場合、それでも離婚したいという場合には、離婚訴訟を別に提起する必要があります。

 離婚調停が不成立になれば自動的に訴訟に移行するわけではありません。

 なお、離婚訴訟を提起しないで、時間をおいて再度離婚調停を申し立てることも可能です。

円満調停が不成立になったら

 円満調停が不成立になった場合、円満な関係改善を求めて訴訟を提起することはできません。離婚訴訟のように、関係を改善するための強制的な手続きは法律上設けられていません。

 ただし、離婚調停と同様に、再度円満調停を申し立てることはできます。

離婚調停や円満調停を弁護士に委任できるのか?

 このような離婚調停や円満調停の手続を弁護士に委任することにより、離婚条件について自分に有利な主張をしたり、それまで実現していなかった生活費の支払いや、子どもとの面会交流を実現させることができます。

離婚調停や円満調停を弁護士に依頼するなら、横浜の上大岡法律事務所にお任せください。

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