子どもの親権争いは父親と母親のどちらが有利か

 離婚調停で、子どもの親権の争いとなった場合、父親と母親のどちらが有利でしょうか。親権者の判断基準については、前回のコラム「離婚で親権をどちらもいらないと主張する場合」で紹介しましたので、ご参照ください。

  結論から述べますと、子どもの親権はどちらかと言えば母親が有利です。しかし、父親が親権を獲得できた事例もあります。

親権の判断基準から言えること

母性優先の原則

 親権の判断基準には、いろいろな原則があります。

 母性優先の原則とは、子の福祉の観点から、子どもは父親よりも母親と暮らした方が望ましいという一般原則です。 特に子どもが小さければ小さいほど、この原則が重視される傾向にあります。乳児(0歳)や幼児(1歳~5歳)であれば、なおさらです。

 しかし、母親であっても、何らかの理由で(病気、愛情の欠落、性格の問題等)子どもに対しこれまで母性的な関わりをしてこなかったのであれば、母親より母性的な関わりをしてきた父親が有利になるということもあります。

 これ以外の原則は、父親だから有利、母親だから有利ということはありません。

現状維持の優先の原則

 現状維持の優先の原則とは、子の福祉の観点から、子どもにとって、今現に暮らしている親と今後も暮らし続けることが望ましいという一般原則です。

 特に別居期間が長く、子どもが片方の親と暮らしている期間が長いほど、この原則が重視される傾向にあります。

子どもの意思の尊重

 子の福祉の観点から、子どもがどちらの親と暮らしたいかの意思を尊重するのが望ましいという一般原則です。

 特に子どもの年齢が高いほど、この原則が重視される傾向にあります。反面、子どもが小さい場合には、迎合してしまう場合も多いため、あまり重視されない傾向にあります。

兄弟姉妹不分離の原則

 子の福祉の観点から、兄弟姉妹を離れ離れにすることなく、同じ親の親権・監護権の下で養育するのが望ましいという一般原則です。 特に子どもの年齢が高いほど、この原則が重視される傾向にあります。

その他

 その他においては、子ども監護体制(どのような監護を子どもに提供できるのか、経済面、祖父母などの監護補助者の有無等)の優劣や面会交流に積極的か等、どちらに親権を認めるのが子どもの福祉に適うかという視点があります。これも母親だから有利とか、父親だから不利ということはありません。

弁護士としての経験上、親権は母親の方が有利

 もっともやはり経験上は、子どもの親権は父親よりも母親の方が有利だと思われる事案が多いです。

 子どもが生まれてからこれまでの監護経過において、母性的な関わりをしてきたのはやはり主に母親ということが大半であって、父親と比べると、子どもとの関わり合い方の質と量に大きな差があることが多いです。子どもが小さければ小さいほど母性優先の原則がものをいい、母親が有利だろうと思います。
 また、母親は、夫婦関係が破綻した際に一人で家を出るということはほとんどせず、子どもを連れて家を出ることが多いです。
 他方、父親は夫婦関係に耐えられなくなったとき、一人で家を出ることが多いでしょう。したがって、現状維持の優先の基準からも母親が有利になることがあります。
 そのためか、虐待をしているとか著しく監護能力が乏しいなどの事情が無い限り、母親を親権者から外すという判断にはなかなか至らないように感じます。

 実際当事務所においてご相談いただいた案件でも、父親に親権が認められたのは、いずれも、母親が子どもを置いて家を出て、現在の監護者が父親であったもの、母親に病気等があって監護能力に問題があったもの、子どもの年齢が大きく、親権者に父親を希望したものなど、母親の監護能力が乏しいと判断されたものでした。

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