離婚調停を申し立てる裁判所

Q、離婚調停はどこの裁判所でも申し立てることができますか。

、いいえ。離婚調停は家庭裁判所でなければなりません。

 また、神奈川県内に家庭裁判所は5つありますが、どこの家庭裁判所でも良いというわけではありません。相手の住所地を管轄する家庭裁判所でなければなりません。

 以下の表のとおりです。

管轄の家庭裁判所 相手の住所地

横浜家庭裁判所
 横浜市中区寿町1-2

横浜市、藤沢市、鎌倉市、茅ヶ崎市、大和市、海老名市、綾瀬市、寒川町

横浜家庭裁判所 川崎支部
 川崎市川崎区富士見1-1-3

川崎市

横浜家庭裁判所 横須賀支部
 横須賀市新港町1-9

横須賀市、逗子市、三浦市、葉山町

横浜家庭裁判所 相模原支部
 相模原市中央区富士見6-10-1

相模原市、座間市

横浜家庭裁判所 小田原支部
 小田原市本町1-7-9

小田原市、秦野市、平塚市、厚木市、伊勢原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町、愛川町、清川村

 

Q、離婚調停の申立の方法を教えてください。

、横浜家庭裁判所の場合、申立に必要な書類は次のとおりです。

1 申立書(裁判所用、相手方用、申立人用の控えの3通)
2 事情説明書
3 子についての事情説明書(未成年のお子さんがいる場合)
4 連絡先等に関する届出書
5 進行に関する照会回答書
6 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
7 年金分割のための情報通知書(離婚と同時に年金分割を求める場合)

 1から5の書式は、裁判所に備え置いてありますが、家庭裁判所のホームページからもダウンロードできます。
 以上の必要書類を管轄の家庭裁判所に提出して申立をします。持参してもよいですし、郵送でも可能です。

 

Q、離婚調停を申し立てるのに費用はどのくらいかかりますか。

、収入印紙1200円分と、連絡用の郵便切手1454円分(100円×4枚、84円×10枚、10円×20枚、2円×5枚、1円×4枚・横浜家庭裁判所【令和3年10月版】の場合)を裁判所に納める必要があります(切手の金額は裁判所により異なります)。

 

Q、離婚調停を申し立てると相手には裁判所からどんな連絡が行きますか。

、裁判所から相手方に、期日通知書というものが送付されます。離婚調停の日時や場所が記載されています。

 要するに、あなたから離婚調停が申し立てられて、いついつ調停を開くので、その日時に裁判所に来るようにという連絡です。

 また、あなたが、申立時に提出した申立書のコピーが相手方に送付されます。申立書以外の書類は当然には相手方には渡されません。相手方が、閲覧、謄写の申請をし、裁判官が許可してはじめて、相手方に閲覧や謄写が許されることになります。

 

Q、離婚調停の流れと進め方について教えてください。

、申立から1か月後くらい先に第1回目の調停期日が開かれます。調停は通常平日の午前10時から、もしくは午後1時15分から行われ、1回にかかる時間はおおむね2時間程度です。

 申立人待合室と相手方待合室があり、申立人(調停を申し立てた人)は申立人待合室に、相手方(調停を申し立てられた人)は相手方待合室でそれぞれ待機します。同じ日時に複数の調停が行われているので、待合室は混雑していることが多いです。

 待合室で待っていると担当の調停委員が呼びに来るので、その調停委員に従って待合室から調停室に移動し、調停委員と話しをすることになります。先に申立人、次に相手方と、交互に調停室に入り、調停委員と話しをします。

 調停委員が、中立の立場で双方の話しを聞きながら、話し合いを進めていきます。 調停委員は通常男性と女性のペアです。本来この男女の調停委員に裁判官を加えた3人で調停委員会が構成され、調停委員会が調停を進めることになりますが、裁判官は、基本的に調停室にいることはなく、男女の調停委員が実際の話し合いを進めます。

 また親権等が争いとなる場合、家庭裁判所調査官が、立ち会うことがあります。

調停室
調停室
(横浜家裁刊「調停制度発足100周年」広報紙より)

 

Q、相手に会わないで離婚調停を進めることはできますか。

、原則として、各調停期日の開始時と終了時に、申立人と相手方に同時に調停室に入ってもらい、調停の手続、進行予定や次回までの宿題等について調停委員が説明をすることになっています。

 しかし、支障がある場合には、同席せず、個々に説明を受けることも可能ですので、調停委員に申し出て下さい。

 申立時の必要書類である進行に関する照会回答書に具体的な事情を書いて提出しておくと良いでしょう。

 

Q、離婚調停が成立した場合に作成される調書とはどのようなものでしょうか。

、離婚調停が成立した場合、調停調書が作成されます。調停調書には、離婚することのほか、離婚に際して話し合いで決まった条件(親権者、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割等)が記載されます。調書は効力の強いもので、例えば慰謝料を支払うと約束したのに支払わない場合、この調書で相手の給料を差し押さえるなどの強制執行が可能になります。

 なお、すべての約束を記載した調書の他に、離婚届出用の調書、年金分割用の調書があります。

 法律的には、離婚調停が成立した日に離婚したことになりますが、役所に離婚届を提出しなければ、戸籍はそのままで変更されません。

 協議離婚の場合、離婚届けには相手の署名押印が必要ですが、調停離婚した場合には、相手の署名押印なしに、あなたひとりの署名押印だけで、また相手の協力なくあなたひとりで役所に提出できます。その際には、離婚届出用の調書を添付する必要があります。

 また、年金分割も同様で、通常分割の約束をしても夫婦二人で年金事務所に行って手続をしなければなりませんが、調停で年金分割を約束した場合には、あなたひとりで分割請求が可能です。その際には、年金分割用の調書が必要になります。


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