有責配偶者は離婚できるか?

Q、有責配偶者は離婚できないのでしょうか?

「不倫した配偶者からの離婚請求は原則として認めない」というのが裁判所の考え方です。

 したがって、弁護士に相談しても、「不倫の証拠をとられている」と告げると、「離婚は無理ですね」と門前払いをされてしまうことが往々にしてあります。

 このような対応を受けて途方に暮れ、当事務所にいらっしゃる相談者は少なくありません。

 不倫してしまうと、本当に離婚できないのでしょうか?

 当事務所はそうは考えません。

不倫の証拠をとられているか?

 裁判所が、「不貞行為」と認定するような証拠なのかどうか、それをまず検討する必要があります。

※相手(離婚を請求されている側)の考え方

 証拠がないと裁判で負けてしまう場合もあるので、証拠があるかどうか、なければ証拠を新たにとることができるか、を検討します。

ちなみに、過去の判例では次のような行為が不貞と認定されたことがあります。

【肉体関係】

・肉体関係を持った。 ・風俗に通っていた。

【性交類似行為】

・異性や同性と性交類似行為を行った。

【同棲】

・異性と同棲していた。

【その他】

・通常人を基準として、婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある異性との交流・接触を行った。

不倫の時点で、夫婦関係が破綻していなかったか?

 仮に、不貞行為と認定される確実な証拠をとられていたとしても、行為をした時点で、夫婦関係が既に破綻していたのであれば、「有責配偶者」にはあたりません。

 有責配偶者からの離婚請求が認められないのは、「夫婦関係の破綻の原因を作った側からの離婚請求を認めたら、相手がかわいそう」だからです。

 裏を返せば、不倫の時点で既に夫婦関係が破綻していたのであれば、それは、不倫が原因で破綻したとはいえないので、離婚請求も認められるわけです。他の異性に走ってしまったのは、もともと配偶者の態度が悪かったために、優しくしてくれた他の異性に心惹かれた、という場合もあります。

 有責配偶者だからと離婚をあきらめる前に、夫婦関係が既に破綻していることを示すような証拠がないか、それを検討します。

示談交渉で離婚に応じてもらえないか?

 もちろん、もともと夫婦仲は悪くなかったのに、それでも他の異性に惹かれてしまう浮気性な人もいるでしょう。

 他方で、もともと夫婦仲が悪かったからこそ、他の異性に惹かれてしまった、というパターンも少なからずあります。

 そんな場合、離婚請求された妻または夫は「浮気しておきながら離婚を請求するなんて許せない!」と言いつつ、内心では「お金をもらってさっさと別れたい」と考えている場合もあります。そのような場合、交渉で離婚に応じてもらえる余地があります。

※相手(離婚を請求されている側)の考え方

 仲の悪い夫婦関係を続けるのか、それよりもスッキリと第二の人生をスタートさせた方がいいのではないか、そのためにはどんな条件が必要か、を検討することが有益です。

長期戦も視野に今後の人生を考える

 示談交渉でも応じてもらえない場合でも、裁判所の3要件(ア 別居期間が相当長く、イ 未成熟の子どもがおらず、ウ 相手方が離婚によって精神的、社会的、経済的に過酷な状況に置かれない)を満たせば、離婚は認められます。

 ひとまずは別居し、お互い冷却期間を置いてから離婚交渉を再開する、という方法もあります。冷却期間を置いたら、配偶者とやり直したいという気持ちが出てきた、という場合もあります。

 当事務所では、どちらのお立場でも、どんなパターンでも検討しますので、まずはご相談ください。


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