調停委員の発言に納得できない場合
Q、調停委員から「そんな主張は通らない」、「この金額で合意しないとダメだ」と言われましたが納得できません。
A、調停委員に上記のような発言をされた、という話はよく耳にします。
調停成立後にご相談に来られた方から調停条項を見せてもらい、「なんでこんな不利な条件に合意しちゃったのですか?」と聞いたら、調停委員に上記のように言われ、合意してしまった、ということが何度もあります。ご相談者によれば、「調停委員の言うことだから従わなければならないのだと思った。」とのことでした。
残念ながら、どんなに不合理な内容でも、一度合意してしまった以上は、それを撤回することはできません。
弁護士が同席していないと、当事者が素人であるのをいいことに、かなり横暴な発言をする調停委員もいるようです。ひどい場合は、「調停委員から怒鳴りつけられた」と半泣き状態で当事務所に駆け込んで来た方もいらっしゃいます。
また、弁護士が同席している調停でも、それに近い発言をする調停委員がいて、弁護士が慌てて止めるということもあります。
調停委員の発言の問題点
調停委員の発言は、次の点で問題となります。
- ・調停は双方の合意によって成立するものなので、合意条項を決める権限は調停委員にはない。
- ・調停委員は裁判官ではないので、双方の主張に争いがある場合に、「どちらの主張が正しいか」と認定する権限はない。
なぜ調停委員は問題発言をするのか
調停委員は、法曹資格のない方、つまり、法律に関しては素人の方がほとんどです。
なので、間違った説明をすることがよくあります。法律の素人とはいえ、年配で、社会的にそれなりの地位のある方が選ばれているので、もともとプライドが高い方が多いように見受けられます。そういった方が、「裁判所」という国の機関から選任され、ますます自分が偉くなったかのような気分になってしまうのかな、という印象です。
調停委員の発言に対する対応策
注意点としては、事件番号を明記すること、宛名として「ご担当裁判官殿」を明記することです。
調停委員の言動に問題があると判断されれば、裁判官から注意してくれると思います。 実際に当事務所でも、調停委員に対して直接抗議しても態度が改まらなかったために裁判官宛に手紙を出したところ、調停委員の態度がコロっと変わった、ということがあります。
役所の無料相談などもありますが、離婚の争点は多岐にわたり、きちんと検証するには時間もかかりますから、できれば弁護士の有料相談で、条項を確認してもらうことをお勧めします。
「一度弁護士に相談に行ってから」と言うと、それこそ早くまとめたい調停委員から、「延期はできません」「今日中に合意しなさい」などと言われることもあります。
しかし、そもそも調停の回数に制限はありません。そんなことを言われたら、その場ですぐに「裁判官を呼んでください。でないと話しません。」と言いましょう。
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